零の軌跡改 プレイ日記「第30話」

第30話「都会の灯りって一斉に点くんだね。時間通りがなぜか息苦しくなる。」

前回のあらすじ:

市長秘書であるアーネストから、警察を辞めて戻ってくるよう言われるエリィ。

ルバーチェ、黒月、そしてダドリーに言われた言葉がエリィを迷わせる。

果たしてエリィはこのまま警察を去ってしまうのか・・。

 

<本記事にはネタバレが含まれます。ご注意ください。>

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夕刻 ーー

 

特務支援課課長セルゲイへ事のあらましを伝えるロイド達。

その場にエリィは居なかった。

 

「なるほど・・、事情は大体分かったぜ。」

「それで、このまま泣き寝入りすんのか?」

 

「な、泣き寝入りって・・。」

「一課が出張ってきたのに、俺たちの立場で食い下がれるものなんですか?」

 

「ま、無理だろうな。」

「大方、あのキツネ《副局長》あたりがしゃしゃり出てきて厳重注意だろう。」

 

「ですよね・・。」

「ー ただし、黙ってやる分には話が別だ。」

 

「え・・!?」

 

「クク・・この特務支援課はある意味、規格外の部署だ。」

「本部からハブられてはいるが、それは逆にある程度の裁量が任されているとも解釈できる。」

「それこそ黙ってやる分には他の部署のナワバリを踏み越えられるくらいにはな。」

 

「オイオイ・・そんな事言っていいのかよ?」

「とんだ不良上司ですね・・。」

 

「クク・・言っただろう?」

「俺は基本的に手は出さねぇが、尻ぬぐいだけはしてやるってな。」

「腹を括って動くのはお前らだ。」

 

「・・・・・・・・」

 

「まあ、そうは言ってもその調子じゃ無理だろうがな。」

「なにせ仲間内に迷っているヤツがいるぐらいだ。」

「チーム一丸となって腹を括れる状態じゃねぇだろう。」

 

「・・それは・・。」

「・・エリィさん・・大丈夫なんでしょうか?」

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その夜 ーー

ロイドはベッドの上で思い巡らせていた。

〔エリィか・・。〕

〔この2ヶ月、結構親密になれたと思ってたけど、肝心なことは何も分かってなかったんだよな・・。)

〔マクダエル市長の孫娘で、政治家志望か・・。〕

 

そう言えば、初めて会った日エリィはこう言っていった。

警察に入った理由は社会勉強のためだと。

そしてロイドが捜査官資格をとった理由を答えあぐねたとき ーー

『ふふ、ここから先は正式な同僚になってからの方が良さそうね。』っと。

 

「・・・・・・・・」

「よし。」

「少し、エリィと話をしてみよう。」

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「エリィ、ちょっといいかな?」

 

扉の先からは何の返事も無かった。

寝ているのか・・。

いや、部屋の中から人の気配が感じられない。

こんな時間に出かけたのだろうか。

 

「・・・・・・」

 

もしかして ーー

ロイドは、階段を上がっていた。

支援課ビル、屋上へと繋がる階段を ーー。

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夜風に銀色の髪が揺れている。エリィの姿があった。

 

「ロイド・・・?」

エリィは振り向きもせず、ロイドのことを言い当てる。

 

「ああ・・どうして分かったんだ?」

 

「何となく、かな。」

「何となくだけど、あなたが来るんじゃないかってぼんやりと思ってた。」

 

「そうか・・・。」

そう言いながら、ゆっくりとエリィの隣に近づく。

 

「綺麗だな・・。」

「あっちに見えるのは・・IBCビルか。」

 

目の前にはライトアップされたデパートやIBCビルが輝きを放っていた。

 

「多分、大陸全土を見回してもこの街ほど夜景が綺麗な所は無いんじゃないかしら。」

「だけど・・街の明かりが増えれば増えるだけ、星の光は見えなくなる・・。」

「女神の慈愛の証たる、清らかな星の光は・・・。」

 

「・・エリィ・・・」

 

「昼間のこと・・覚えているでしょう?」

「ルバーチェ、黒月、そしてダドリー捜査官が言ったこと。」

ーー

『てめぇらが何をしようが、このクロスベルの現実は変わらねぇ。』

『クロスベルは自由な競争が法によって保証されている場所、何か問題がありますか?』

『この正義が守りきれないこの街で一定の秩序を保ち続ける事、その努力がお前達に分かるのか?』

ーー

 

「あれがこの街の闇・・・、クロスベルという自治州の真実よ。」

「帝国と共和国の狭間で生かされ、誇りも持てず、嘘と欺瞞にまみれ、諸外国から集まる富によって、かりそめの繁栄と享楽に溺れる・・・。」

「誰もがそれを仕方のない事と諦め、日々の忙しさに追い立てられる・・・。」

「私たちはそんな街で生きている。」

 

「そうか・・・エリィは諦めたくないんだな?」

 

「・・・・・・・・」

「父と母がいたの・・・。」

 

「えっ・・?」

 

「ふふっ、こういう言い方すると亡くなっているみたいだけど、2人とも今も元気よ。」

「もっとも離婚して帝国と共和国でそれぞれ暮らしているけど・・。」

 

「そうなのか・・・。」

 

エリィの父は元々共和国の人だった。

この街に来て、エリィの母と出会い、マクダエル家に入ることで政治家の道を志したのだという。

そして、議員になってすぐにこの街の歪んだ現実に気づいた。

それでも、元々正義感の強かった彼は、諦めることなく何年もかけて様々な改革案を打ち出していく。

 

しかし ーー

 

その改革は実ることはなかった・・。

帝国・共和国、そのどちらからも排斥される形で・・。

 

信じていた同志に裏切られ、政敵に嘲られ、義理の父であるマクダエル市長も中立的な立場であるがゆえに助けられず。

 

彼は・・クロスベルに絶望してしまった・・。

 

そして、議員を辞め、妻子を捨て、クロスベルを去ってしまった・・。

エリィの母も引き止めようとしたが、引き止められず、夫のいなくなったクロスベルに住むのが辛くなり親戚のいる帝国へ身を寄せることとなった・・。

そして、エリィは祖父であるマクダエル市長に引き取られることになったのだ。

「・・私が政治の道を志そうと思ったのはその時からよ。」

父の仇をとろうと思ったわけではない。

ただ、あの幸せだった家族がなぜバラバラになってしまったのか、納得がいかなかった。

 

「祖父の助けもあって、私は各地で留学をしながら政治・経済などを学んでいった。」

「でも、勉強すればするほどクロスベルの置かれている状況は困難なものであることに気がついたの。」

 

帝国と共和国。

この2大国にあらゆる正義と利害は絡め取られ、歪みを余儀なくされてしまう。

 

「私は《壁》にぶつかった。」

「父もそうだったけど、祖父も感じているであろう《壁》」

「ねぇ、ロイド。クロスベル自治州の政府代表って、誰だか知ってる?」

 

「それは・・マクダエル市長じゃないのか?」

 

「ううん、正確には『クロスベルの市長』と『自治州議会の議員』の2人よ。」

つまり、マクダエル市長と帝国派のハルトマン議員がクロスベル政府の共同代表ということになる。

 

「・・そうか、不勉強だったな。でも、どうしてそんなややこしい体制になっているんだ?」

 

「ーー 決まっているわ。」

「同格の代表がいたら政治改革が起こりにくいからよ。」

 

トップが2人いた場合、どちらかが改革を起こそうとしてももう片方が必ず足を引っ張る。

事実、マクダエル市長の改革案もことごとく、ハルトマン議長の反対で潰されているらしい。

まさに帝国 共和国によって定められた”呪い”のようなものだ・・。

 

「私は・・途方に暮れてしまった・・。」

「政治の世界に入れば、その呪いに必ず蝕まれてしまう・・。」

「だから、父とも祖父とも違う別の切り口が欲しかった。」

 

「それが・・・警察だったのか。」

 

「ええ・・政治とは別の視点で様々な歪みを観察できる場所・・。」

「そこでの経験は、いずれ政治の世界に入ったときの武器になると思った。」

「父が失敗し、祖父がなし得なかったクロスベルの改革・・。」

「それを実現する手がかりになるんじゃないかと思ったの。」

 

「・・でも、それはやっぱりそれはただの逃げだったのかもしれない。」

「今日あった出来事はどれも予想の範囲内だったけど、想像以上に重たく、冷たかった。」

「それを突きつけられて・・ またしても途方にくれてしまった・・。」

 

「結局私は1人では何もなし得ないのかもしれない。」

「父と母に見捨てられた幼い少女のままなのかもしれない。」

エリィの気持ちは分かった。

ロイドが出す答えとは・・。

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はい。

今回も長めの会話回となってしまいました。

でも、内容は零の軌跡のテーマというか、核心にせまる重要なシーンじゃないかなと思ってます。

それでは次回ロイドはどのような答えを出すのか、お楽しみに。

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